こ〜たろ〜 の 「介護放浪記」

福祉・介護の世界で着のみ着のままに放浪中~!息抜き8割、本業2割、でなきゃ続けていけません…。

8050問題(ハチマルゴーマル)

 

はじめに

最近、この8050問題にあたるケースが増えている。

 

自分自身もまさにこの50世代に差し掛かろうとしているから余計に人ごとに思えない。

 

みなさんは、「8050問題」という言葉を聞いたことがあるかな?

「80」代の親が「50」代の子どもの生活を支えるという問題です。

背景にあるのは子どもの「ひきこもり」。

 

ひきこもりという言葉が社会に出始めるようになった1980年代~90年代は若者の問題とされていましたが、そこから約30年が経ち、当時10代~20代の若者が40代から50代に。

その親が70代から80代となり、長期高齢化。

こうした親子が社会的に孤立しここ数年、生活が立ち行かなくなる深刻なケースが目立ちはじめている。

 

記憶にも新しい2019年5月に起きた「川崎市登戸・無差別殺傷事件」。

そして翌月の「練馬区・元農水事務次官による長男殺害事件」がきっかけとなって、世間でも「8050問題」に注目が集まるようになった。

 

内閣府の調査結果

2019年3月29日に内閣府が発表した調査結果によると、自宅に半年以上閉じこもり、外出時にも社会との接点を持たない40歳から64歳までの「中高年引きこもり」は推計で約61万3000人いるという。

7割以上が男性で、ひきこもり期間7年以上の者が約半数。注目すべきはその人数だけではなく、15歳から39歳までの「若者」のひきこもりの推計人数54万1000人を、40代以上が上回ったことだ。

例えば佐賀県の調査では、40代以上がひきこもり層全体の7割を超えている。

さらに長期化という意味でも、例えば茨城県の調査では10年以上が4割を超えるというデータがでており、長期高年齢化というのは全国的な傾向にあるのではないかと考える。

 

8050問題 背景はひきこもりの長期高齢化

長期高齢化するひきこもり。

その理由は、現在の社会構造にも原因があると考える。

必ずしも、不登校の延長だけではなく、誰でもひきこもりの状態になり得るという状況が今あると思う。

1つには、一度レールから外れるとなかなか戻れない社会の構造になっているということがある。

履歴書社会で雇用関係も大きく変わってきて、コスト競争などが激しくなり、非正規や派遣の数も増大している。

そういう中で、非常に職場の環境自体がブラック化し、そこで傷つけられる、あるいはものすごい過密スケジュールや厳しいノルマの中で働かされる。

「自分がこのまま職場にいたら壊されてしまうのでは?」という危機感から、防衛反応としてひきこもらざるを得ない人たちが増えているという現状があるのでは?と思うところもある。

 

精神疾患や障害が要因になっている場合以外にも要因が

私が関わってきたケースには精神疾患や障害があるという方が多く見受けられたが、必ずしもそういう方ばかりではないと考えている。

ひきこもりの方たちの中には確かに精神疾患を抱えた人たちもいるが、一方で社会的ストレスで、今の生きている社会から自分を守るために、命を守るために、あるいは尊厳を守るためにひきこもらざるを得なくなっている人たちが、最近増えているような傾向がある。

 

特に若い世代に多いのは、働くことや社会に出ることの必要性を初めから持てないケース。

現在はインターネットの普及により、部屋にパソコンさえあればチャットツールやオンラインゲームなどを介して他人と接触することが可能。

この結果、バーチャル空間に完全に依存してしまい、部屋にこもって一日中インターネットに没頭する若者が増えてきているのも事実。

同時に、職や技能を持たず、それに対する習練なども一切おこなわない「ニート」と呼ばれる若者も増えてきた。

 

親の介護を機に、引きこもりになるケースもある。

「介護離職」という言葉があるが、無事に親を看取ったにもかかわらず、仕事をしていなかったブランクが影響して再就職先が見つからず、絶望感からそのまま引きこもってしまう。

介護休暇や介護離職に対する世間の理解がまだまだ低く、このあたりの意識改革も社会に求められている。

 

多くのケースに共通して言えることだが、何かのきっかけで自信をなくし、自分は世間から必要とされていないと思い込む孤独感が、引きこもりや8050問題に拍車をかけているのではないかと考える。

 

知られたくないから隠す 社会につながれないひきこもり

世間には、支援とつながってない人たちがたくさんいる。

家族そのものが社会や支援と全くつながってないというケースがある。

例えば今、医療も受けられなかったり、生活保護にしても、障害の手帳にしても、それを認めない、自分の子どもがそういう状態だと認めないという思いから、親によって隠されてしまうというケース。

全く社会と関係性を持たない。

うまく表現をするのは難しいが、ある意味、軟禁状態におかれていることが続きこれが長期化してしまう。

すると、本人たちは社会との関係性もなく孤立が慢性化し、これからどうすればいいのか、どう生きていけばいいのかなどが分からなくなっている状態で生活をしているのではないだろうか。

 

何故、認めたくないのか

では、どうして『認めない』ことになってしまうのか?

ひきこもることが恥だと親も思い込まされているのだろうか?

生きるっていうことがいちばん大事なはずなのに、生きることよりも、他人との比較とか、評価とか、横並び的に考えてしまう。

自分の子どもに障害があったり、ひきこもっていることが恥ずかしい、と。

あまり知られたくないという感情の方が、生きることよりも優先されてしまうという現状がある、と感じる。

働くことが前提というふうに社会が設計されているので、親も本人たちも『働かない自分はダメなんだ』と否定に入ってしまって、どんどん追い詰められている感じがしてしまう。

人には、いろんな生き方がある。

多様な生き方がある。

ということを、もっと家族が認めて肯定しないと状況は改善していかないと思う。

彼らの家族には、とても難しいことかも知れないが。

 

厳しいが現実を見ると

彼らを含め家族は大変な思いをして来たかも知れない。

しかし、この問題は、支援に携わっている私だからあえていう。

どのような理由があるにせよ、事実、何よりも彼らを「見えない」存在にしてきたのは、実の親だ。

理解のない社会があるのも現実だが、、、。

 

家にひきこもりがいるのは「恥だ」と考える根強い文化に基づき、親がその存在を社会からひた隠しにし、「見えない」存在にしてきたことが、ひきこもりを長期化させ、中高年ひきこもりという存在を作った最大の要因であることは間違いない。

 

確かに、元農水事務次官が40代ひきこもりの息子を殺した事件も、息子の存在をひた隠しにしてきた結果として起きたものだった。そうやって多くの親がひきこもりの子の存在を隠し続けた結果、「8050問題」に至ったということを私は日々の支援の中で痛感している。

 

就労ありきではない多様な支援を

日々思うことは、長期高齢化するひきこもりの対策として、就労ありきという古い考え方を見直すべきだと思う。

 

就労というのが1つのゴールになっていて、就労ありきの支援というものしか事実上なかったのだと思う。

支援のメニューの選択肢が少なすぎたのだ。

実態調査を行って、課題が何なのか、何を当事者たちが求めているのかを知った上でメニューを構築していくべきだ。

 

ひきこもりが長期高齢化している人たちがいる中で、これからどのような支援が必要なのだろうか?

 

現在進行形で支援している50代のひきこもり男性の介入当時の声

「僕自身のいちばんの不安は、やはり金銭面と生活面です。『母が生きているうちに、なんとか自立したい!』と思って、これまでいろいろ頑張ってきました」

 

「でも、何度も面接受けましたが全て不採用。父の遺族年金で現在は母と二人暮らしです」

 

「今は母がいるから生活できますが、この先の事を考えると…」

 

「頭で理解はしているのですが、今は仕事をする気力がなくて…」

 

「どうしたらよいか分からくて、毎日不安でたまらない日々を過ごしています」

 

ひきこもり地域支援センター

厚生労働省が、ひきこもりに特化した専門的な第一次相談窓口として、都道府県や政令指定都市には「ひきこもり地域支援センター」を設置している。
このセンターは、ひきこもりの状態にある本人や家族が、地域の中でまずどこに相談したらよいかを明確にすることによって、より適切な支援に結びつきやすくすることを目的としている。

 

本センターに配置される社会福祉士精神保健福祉士臨床心理士等ひきこもり支援コーディネーターを中心に、地域における関係機関とのネットワークの構築や、ひきこもり対策にとって必要な情報を広く提供するといった地域におけるひきこもり支援の拠点としての役割を担っている。

 

支援の対象を39歳までと年齢で区切ってしまっている場合は、住所地の市町村にある「生活困窮者支援窓口」へ連絡を。

「生活困窮」という名前ではあるが、ひきこもっている本人や家族の相談・支援も行っている。

行政担当窓口一覧 – 特定非営利活動法人KHJ全国ひきこもり家族会連合会

 

「家庭の問題」で片づけるのではなく、周囲の助けを借りる勇気が大事

いったん引きこもり状態になった人が、再び社会と接点を持つようになることはそう簡単ではないが、解決できる道は必ずあるはず。

 

まずは、住所地にある市区町村の福祉課に相談してみること。

ソーシャルワーカーが社会復帰への後押しをしてくれるはず。

また、就労に関しては、ダイバーシティ(多様性)を認める社会へと変革しつつある現在、一定規模の企業は障がい者雇用も積極的に行っている。

 

しかし、8050問題が長期化する理由に、外部はおろか家族にさえも固く心を閉ざしてしまっている人も多くいる。

こういった人たちが簡単に説得に応じてくれることは難しく、就労はおろか部屋の外に出てきてくれることさえ困難を極める。

 

こういった場合、急に「仕事に就く」という目標を課すのではなく、まずは人と目を合わせて話を聞くことから始める。

徐々に信頼関係を築いていき、部屋の外から一歩出て、最低限のコミュニケーションが図れるように持っていくことが望まれる。

 

焦らず、人と関わる事に少しずつ慣れてもらう。

 

長きにわたり引きこもり支援を専門におこなうNPO団体も数多くある。

地域活動支援センター・障害者支援施設(自立訓練)・就労移行支援、こういった事業所の人たちの知恵や経験を生かし、人と触れ合うことの意義や楽しさを少しずつ思い出してもらうことも重要となる。

 

また、都道府県には障害者職業センターが設置されている。

ここでは、障害者職業カウンセラーが職業に関する相談や助言を行い、個々の状況に応じた支援計画を策定し、職業準備支援・職場復帰支援・事業主支援といった就職・復職・職場定着を目指した支援をここに合わせて行ってくれる。

 

まとめ

私は、今回のテーマの専門支援機関の職員ではない。

しかし、間接的に多くのケースが飛び込んでくる。

 

今もなお、社会や誰とも関われないでいる彼らや家族に伝えたい。

 

ひきこもりの子どもを抱える家族は、外部(都道府県が運営する「ひきこもり支援センター」など)に向けてSOSを出してほしい

 

そしてもうひとつ、地域に中高年ひきこもりのための「居場所」をつくる必要性がある。

知られていないだけで、少なからずそういった「居場所」は存在している。

いきなり就労という高いハードルを課すのではなく、まずは家から出て、日中、過ごせる場所をつくるということだ。

 

「そこまでする必要があるのか」と感じる人もいるかもしれない。

 

しかし、私たちは、中高年ひきこもりの存在を意識し、「そこからどうするべきか」を考える段階に来ている。

 

私達の周りにも、声を出せずに、助けを求められずにいる彼らや家族がいる。

 

声にならない声が誰かに伝われば、必ず何かが変わるはず。

 

ちょっとしたSOS、信号を感じ取れるようになれたら…

 

日々の仕事から、そんなことを痛感させてくれる。

 

 

 

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