こ〜たろ〜 の 「介護放浪記」

福祉・介護の世界で着のみ着のままに放浪中~!息抜き8割、本業2割、でなきゃ続けていけません…。

就労継続支援/A型•B型事業所

 皆さん、こんにちは!

 

梅雨の中休みもそこそこに暫くこんな天気が続くようですね!💦

 

気圧の関係で体調を崩されている方もいるのではないでしょうか?

 

こんな時は、ちょっとしたことでイラッとしたり、何気ない一言で落ち込んだりもします。

 

なるべく心をフラットに、リラックスできる時間を待ちましょうね!

 

 

さて、お題の"就労継続支援"ですが、先日、二つのケースで大きく支援が変わることがありました。

 

Nさん:70歳女性、身体障害者手帳1級所持、就労意欲有り。

Hさん:54歳男性、自立支援医療費制度利用、就労意欲無し。

 

現在、Nさんの就労支援をする過程において、障害者職業センターで職業評価を本人の体調に合わせて三日間程に分けて丁寧に評価して頂きました。

 

元々、20代~30代の頃に事務経験のあるNさんは、数字の計算や文字解読は高評価でした。しかし、手作業による組立てなどの軽作業は苦手と分かりました。

 

評価としては就労継続支援A型の就労も可能と評価されましたが、ここで問題が一つ浮かび上がってきます。

 

年齢制限です…

 

A型事業は、定年制がほとんどの事業所で設けられています。

 

十分に就労能力や就労意欲もあるのですが、年齢で就労継続支援A型が活用できないという現実に突き当たりました…。

 

ただ、Nさんはとても意欲があり就労継続支援B型でも「がんばりたい!」と仰られ、現在就労に向けて支援中です。

 

 

一方、Hさんは54歳、この条件でいうと就労継続支援A型を活用できるということになります。

しかし、Hさんに関しては、86歳になる母親の扶養に入っており、亡くなった父親の遺族年金で母親と一緒に生活をしています。そんな事情ですので、就労意欲というより就労の必要性をご本人は感じていません。

 

現在は、数年先に母親がおられなくなった時の為の支援を長期的に進めています。

 

 

では、先ほどからA型やB型とワードが出てきていますが、ここで簡単に就労継続支援事業のA型・B型についての違いと、継続支援の先にある移行支援、定着支援も合わせて説明したいと思います。

 

 

1.就労継続支援 A型・B型とは?

 

継続就労支援は、一般的な事業所で働くことが難しい障がいのある方に向けた、職業訓練や生産活動を支援するサービスです。

年齢制限などはありますが、利用期間の制限はありません。

この就労継続支援には、どんな人を対象とするか、どんな支援をおこなうかで就労継続支援A型就労継続支援B型の2つがあります。 

1-1.就労継続支援A型

就労継続支援A型の大きな特徴としては、事業所と雇用契約を結ぶことが挙げられます。

そのため雇用型とも呼ばれ、定められた給与も支払われます。

対象は18歳以上65歳未満雇用契約に基づいた勤務が可能なものの、障がい・難病などにより一般企業への就職が難しい人です。

労働者として働きながら、同時に訓練も受けて就職のための知識・能力を身につけていきます。ここからさらに就労移行訓練を経て、一般企業への就職ができるように支援をおこないます。

 

1-2.就労継続支援B型

就労継続支援B型では、事業所との間に雇用契約は結ばないので、非雇用型とも呼ばれています。A型の仕事の内容が難しい障がい者、年齢・体力などから一般の企業で働くことができなくなった人などが対象です。

以下のいずれかに当てはまることが条件です。

1. 就労経験がある者であって、年齢や体力の面で一般企業に雇用されることが困難となった者
2. 50歳に達している者または障害基礎年金一級受給者
3. 1及び2に該当しない者で、就労移行支援事業者等によるアセスメントにより、就労面に関わる課題等の把握が行われている者

                                 引用:厚生労働省/ 障害者の就労支援について

 

利用者には作業訓練などを通じて生産活動をおこなってもらい、できたものに対して賃金が支払われる仕組みです。

更に、訓練を積んで就労継続支援A型、就労移行支援を受けることも可能です。

 

また、収入面でも大きく変わってきます。雇用契約を結ぶA型は、各都道府県が決める最低賃金額以上が時給で支払われます。B型では月の収入が平均数千円から1~2万円というのに対し、A型は労働時間数によって4~5万円から7~8万円とパートさん並みの収入を得られます。

 

 

就労移行支援A型とB型の違い

2.就労移行”支援との違い

就労 “継続” 支援は対象者が事業所の中で働くのに対し、就労 “移行” 支援は事業所で訓練を受けながら一般企業への就職を目指すもの、「一般企業に就労したい」という障がい者が対象です。

支援を受けられる年齢は18歳〜65歳未満までで、利用できるのは原則として2年まで。必要性があれば、最大12ヶ月の更新が可能です。

就労移行支援の特徴としては①職業訓練 ②職場探し ③職場への定着支援 の3つの役割があります。

職業訓練の内容としては、ビジネスマナー、挨拶などのコミュニケーショントレーニング、パソコンの活用方法、基本的な読み書き・計算などのほか、意外と誰もが知っているようで知らない正しい履歴書の書き方なども習うことができます。

更に、その人に合わせた能力開発訓練や職場見学などもおこないます。

職場探しの支援では、その人の適性に応じた職場を探す必要があり、また職場の理解と協力も必要となります。一般企業やハローワーク障害者職業センター、障害者就業・生活支援センターなどと連携して利用者にとってよりよい職場探しをおこないます。

職場定着のためのサポートは、就職後も6ヶ月間は面談をおこなって、職場定着のための相談・問題などを解決します。

私も以前に勤めていた職場では、職場定着までの間、毎月ジョブコーチが訪問し面談などに立ち会いました。

 

3.就労定着”支援との違い

 

就労定着支援とは、その名の通り、職場への定着支援をおこなうサービスです。

今までも就労移行支援には定着支援サービスがあったのですが、自立を目指す障がい者の方が増えてきたことから、独立した制度として2018年にスタートすることになりました。

就労定着支援の対象となるのは、就労継続支援や就労移行支援、そのほか自立訓練サービスなどを経験して障がい者雇用枠での就労を含め一般就労した人です。

サービスは「働きやすい環境づくりのお手伝い」で、就労移行支援後の6ヶ月サポートが終わった、さらに半年後から受けられるようになり、1年ごとに更新、最長で3年間利用することができます。

具体的な支援の内容としては、障がい者が実際に働いてみて出てきた悩みやトラブルへの対応となります。

例えば…

・上司や同僚と上手にコミュニケーションが取れない

・一生懸命に頑張ってはいるもののミスが多く周囲から指摘される

・生活リズムが変わったため朝起きられない          など。

こういった問題を解消するために、都度、面談をしたり、職場の方から話を聞いて問題点を探ったりと、適切なフォローをします。

 

4.就労支援のなりたち

 

これまで就労継続支援・就労移行支援・就労定着支援の3つを話してきました。

更に、それぞれの支援制度ができた背景を知っておくと、より理解が深まるので、ここで簡単に説明しましょう。

 

 

障害者雇用促進法が施行されたのは1976年のこと。法律が施行されるのと同時に就労継続支援がスタートしました。それまで、障がい者が就職するのはなかなか難しい時代でした。

 

 

法律の施行後、「就労継続支援A型」「就労継続支援B型」の福祉サービスを利用して、多くの障がい者が仕事のやり方や作業訓練を学びながら、就職していきました。

それからしばらく経ち、2006年障害者自立支援法が施行され、就労移行支援がスタートしました。

これは障がい者福祉施設でなく、一般企業などに就職できるよう支援する制度です。就労移行支援事業所で就職に必要なことを学んで、一般企業に就職する人の数も増えました。

「就労継続支援」と「就労移行支援」の2つにより、就労する障がい者の数は確実に増加する一方、その後の継続就労調査をおこなうと、就職後の早期に離職してしまうケースが多いということがわかってきました。

障がい者が就職するまで手厚い福祉サービスがあっても、職場に定着のするための精神面、生活面でのフォローが何もなかったことが原因だと考えられます。

この課題に対応するため、2018年に新設されたのが就労定着支援事業です。

このような時代の流れの中で、就労継続支援→就労移行支援→就労定着支援という順番に制度ができていきました。

 

5.まとめ

厚生労働省の発表した資料によると、障がい者の雇用者数はここ10年で43,987件から93,229件と大幅に増加しています。

しかし残念なことに、就職1年後の職場定着率は約49〜70%。つまり離職率は3〜5割にもなっています。自分に合った仕事・職場」を探すことは、障がい者にとって、なかなか難しいのかもしれません。

数値引用:厚生労働省/ 障害者雇用の現状等

 

障がい者職業訓練や生産活動を支援す「就労継続支援」。一般企業への就労を目指し職業訓練、職場探し・職場への定着の支援をおこなう「就労移行支援」。就労移行支援後にさらにサポートし職場定着を促す「就労定着支援」。利用者はそれぞれの性質や特徴を理解して、自分に合うものを利用することがとても大切になってきます。

また、支援事業所は全国で見ればまだまだ不足しています。今後も継続的に社会全体でサポートできる体制作りが必要です。

そして、多くの方にこのような支援事業があることを周知していくことが重要だと考えます。

 

もし、就労意欲のある方や就職で悩まれている方がいましたら、各市町村の窓口(社会福祉課など)へ相談をされてはいかがでしょうか。必要に応じて支援団体や事業所を紹介して頂けると思います。

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