病院へ看護助手として勤務するようになって1ヶ月、一通りの業務は覚えた。
初出勤の日に、ベテラン職員からの洗礼を受けたが、その時のことが逆に他のスタッフに受け入れてもらえるきっかけになったのかも知れない。
元々、学生時代にパレードやアトラクションのボランティアスタッフをしていたので、待ち時間に子どもたちに手遊びや皆んなで一緒にできるゲームネタを数十種類持っていた。
ベテラン職員に無茶振りされた時、円の真ん中でぐるっと患者さん全員の状態を観察し、皆んなでできそう手遊びを披露した。
半分くらいの患者さんは一緒に手遊びができ、残り半分は、ベテラン職員以外のスタッフがフォローに入ってくれたので、何となく全体で楽しめる程度に形はなった。
おそらくそのことが一晩でフロアスタッフ全員(看護師も含め)に伝わり、2日目からは、皆が声をかけてくれるようになっていた。
とても働きやすい環境になっていた。
そんな出来事もあり、看護師さんたちも色々と仕事を教えてくれ、日に日にできることご増えていった。
そんな中、普段の業務で看護師と看護助手が一緒に行うのが入浴介助だ。
週に2回、火曜日と金曜日が4FのA棟とB棟の入浴の日だ。
両棟が合同で入浴介助を行う。
6割くらいの患者さんが車椅子で2Fにあるお風呂場まで移動する。残りの患者さんは、ベッドのまま移動。
役割分担は、入浴介助(中介助)、着脱介助(外介助)、移動介助の3つに分かれる。
男性スタッフは、主に外介助か移動介助が多い。
寝たきりの患者さんをストレッチャーへ乗せ替えたり、鉄製のベッド(20数年前は、現在のベッド程作りは良くなくとても重たい作りだった)は重く移動が大変なので男性に任せるらしい。
中介助に入る場合は、寝たきりの患者さんが入る機械浴が担当になる。
午前・午後も一日中入浴介助になるので、季節関係なく男性陣は汗だくになった。
一般浴は、釣り用の胸まである長靴とズボンが合体したようなゴムの長ズボンを履いて浴槽内まで介助する。
これもまた、全身汗でびっしょりになる。
1日4時間で約60人程に入浴してもらう。この日は、看護師・看護助手ともに毎回バタバタとする。
看護師は、主に褥瘡の処置やバルーンカテーテルの処置などを行うのに2人、機械浴に2人の計4人。
看護助手は、中介助に2人、外介助に2人、機械浴に2人、ベッドなど移動介助に2人の計8人が担当する。
本当に流れ作業のような感じで回していかないと終わらない。
入浴室の前にある廊下とエントランスは、順番を待つ患者さんが車椅子に乗ってズラッと並んでいる。
一人ひとりの患者さんに向き合って介助をするなんて余裕は全くない状況だ。
それでも、「さっぱりした!ありがとう!」と言ってくれる患者さんも中にはいる。
何だか心苦しくなる...。